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「任せる力」がチームを進化させる!若手を信じる勇気【ザ・ファウンダー|一人でも始められる日本中から患者が集まる診療チームをつくりかた~「来てください」とお願いしなくても、「診てください」と患者や紹介がバンバンくる診療チームに~】

  • 執筆者の写真: 十河 剛(そごう つよし)
    十河 剛(そごう つよし)
  • 3月18日
  • 読了時間: 7分

更新日:3月27日

※このブログ記事は将来書籍化する予定の文書を一時的に無料開放しているものです。予告なく読めなくなることがあります。


「若手に任せるべきか、自分でやるべきか?」——その葛藤、本当に必要か?


部下や後輩ができると、必ずと言っていいほど経験するのが、「若手に仕事を任せるべきか、それとも自分でやったほうがいいのか?」という問題です。

「若手に経験を積ませることは大事だが、任せると時間がかかるし、クオリティが下がるかもしれない。」

「自分でやれば早いし、確実だけど、いつまでもチームの成長につながらない。」

とくに医療の現場では人の命に関わるため、『どこまで患者さんの安全を担保できるか』という視点も加わります。”若手に任せたい”自分”自分でやりたい”自分が、自分の中で反対方向に引っ張り合う状況が続くと組織としての発展も個人の成長も止まってしまいます。このような葛藤を解決する考え方がNLPにはあります。


NLPでは、自分の中にあるもう一人の自分のことをパートと呼びます。いくつものパートが自分の中にあり、それが一つの”私”を作っています。元々は一つだったパートたち(パーツ[複数形])がときどき駄々を捏ねる子供のように自己主張してきます。しかし、元々は一つの”私”なので同じ意図、同じ目的をもっています。


だから、NLPでは、一見、行動のレベルでは葛藤があるように見えても、意図のレベルでは統合されると考えます。つまり、「若手に任せたい」と「自分でやりたい」は対立する選択肢ではなく、より高い意図のもとで調和できるものなのです。


コインの裏表のように正反対のパーツの目的を問いかけていくことで、お互いが合意できる高次の意図に辿り着けるのです。


行動の背後にある意図を見つめる


「若手に任せせたい」と「自分でやりたい」のパーツには、それぞれの意図があります。その意図は人それぞれ異なりますが、一般的には以下のようなものがあるのではないでしょうか。


✅ 「若手に任せたい」パートの意図の例

  • 若手に経験を積ませたい→若手に成長してほしい

  • チーム全体の診療能力を向上させたい

  • 自分がいなくても回る組織を作りたい


✅ 「自分でやる」パートの意図の例

  • 医療の質を確保したい

  • 失敗によるリスクを回避したい

  • 説明や指導する時間を減らしたい


二つのパートの意図を比べると、表面的には対立しているように見えます。


しかし、この意図を、「何が目的か?」を突き詰めて考える、言い換えると、さらにチャンクアップ(抽象度を上げる)していくと、どこかで両者は「より良い医療を提供する」などという高次の目的に統合されます


つまり、「どちらかが正しい」という選択ではなく、「より良い医療を提供するために、どのように任せるか?」という問いに変えることができるようになります。



LABプロファイルの詳細型・全体型で考える


NLPでは無意識にあるフィルターの一つに”メタプログラム”という概念があります。フィルターなので、どのような情報がフィルターを通過しやすいかを規定するプログラムとも言えます。そのプログラムにより無意識のフィルターを通過した情報は、言葉行動に現れます。そして、人が話している言葉と行動からどのようなメタプログラムを持っているかをプロファイリングする技術をLABプロファイル(Langage and Behavior Profile)と言います。


LABプロファイルには、情報処理の傾向として詳細型全体型の二つのパターンがあります。

  • 詳細型の人は、細かい手順や具体的なデータにフォーカスします。

  • 全体型の人は、全体像にフォーカスし、大枠を捉え、概要を把握するのが得意です。


 上司が詳細型のパターンだと、詳細な部分が気になり、少しでも自分のやり方と違うと、それを受け入れられいということが起こりがちです。全体型の人からすると、「どっちでやっても同じでしょ」というようなことも、詳細が気になるため、部下が少しでも自分と違う方法を取ると、「なぜ、そんなやり方をするんだ?」と否定したくなってしまうこともあります。これでは部下に仕事を任せることはできません。


 一方で、上司が全体型のパターンだと、「多少違うけど、全体としては正しいからOK」と考えられます。その結果、若手が自分のやり方で取り組むことを許容できるようになり、自分で判断して主体的に行動できる自走する部下が育ちやすくなります。


 つまり、詳細に入り込みすぎず、一度全体型の視点に立つことで、「任せる」ことへの抵抗が和らげることができるのです。


 実はLABプロファイルは、誰かをどれか一つのパターンに分類するものではありません。状況(コンテクスト)によってパターンは変わると考えています。この考え方はとても重要で、詳細型の人がいるわけではなく、ある状況がその人が詳細型に入れてしまっているだけなのです。したがって、自分が自分が陥っているパターンに気づくことができれば、自分の行動を変えることはできるのです。



「詳細型」ではなく「寛容型」で接する


LABプロファイルには、ルールをどのように適用するかというフィルターもあります。


  • 自分型:自分のやり方がベストだと考え、それを他人にも適用しようとする。

  • 無関心型:自分には自分のやり方があり、他人には全く関心がない。

  • 迎合型:自分のやり方はなく、既存のやり方を自分や他人にも当てはめる。

  • 寛容型:自分のやり方はあるが、他者のルールややり方を柔軟に受け入れる。


リーダーが自分型に偏りすぎると、「自分のやり方が正しい」と思い込み、部下にそのまま押し付けてしまうことになります。昔ながらの力強いリーダーは自分型が多いです。それはそれで悪くはないし、状況によっては強いリーダーシップが求められる場合もあります。


しかし、部下の育成という状況(コンテクスト)では、あまりにも自分型が強すぎると、部下がついてこれないだけではなく、パワハラ認定されてしまうことすらあります。


もしも、自分で「自分型が強く出ているな」と気づいたなら、「自分にも自分のやり方があり、相手にも相手のやり方がある」という寛容型にシフトして、「自分と違うやり方でも、目的を達成できるならOK」と考えられるようになると自分自身のイライラも減るだけではなく、部下も「認められている」と感じることができるので、部下の自信にもつながっていきます。


上司が「詳細型→全体型」「自分型→寛容型」への変化ができると、部下が自分なりのやり方で試行錯誤しながら学ぶ機会を与えることができ、結果としてチームの診療能力が向上していきます。

もちろん、全体型よりも詳細型、寛容型よりも自分型がふさわしい状況(コンテクスト)もあるので、どちらが正しいというわけではありません。


「君のやり方は間違っている」ではなく、「君の方法も一つの選択肢だね」という視点を持つことで、部下のモチベーションを維持しながら成長を促すことができると考えます。



パーセプチュアル・ポジションで視点を変える


「自分のやり方を押し付けたくなる」

「任せることに不安がある」

そんなときに有効なNLPの考え方が、パーセプチュアル・ポジションです。


第一ポジション(自分の視点)では「私のやり方がベストだ。若手に任せると時間がかかるし、クオリティも心配だ。」と考えていても、第二ポジション(相手の視点)で考えると、 「もっと自分に任せてもらえたら、もっと成長できるし、もっと自信がつくだろう。」という視点が得られるかもしれません。自分のやり方が相手に合っていないので、かえって苦しんでいるという視点も得られるかもしれません。

そして、第三ポジション(俯瞰視点)で考えてみると、「自分のやり方をゴリ押ししている上司とそれに委縮してしまって本来の力を発揮できてない若手の姿」が見えてきて、「この若手には、自分でやる機会を得たほうが、結果的にチームのためになるのでは?」という新たな視点が得られるかもしれません。


また、逆に若手に仕事を任せるときに、「もしも僕が君の立場だったら」と前置きして伝えると、今度は若手の視点が切り替わり、上司のポジション(若手にとっては第2ポジション)に入らせることもできます。そしてさらに、「ちょっと一歩引いて、考えてみようか」という言葉から始めると、若手を今度は第三ポジションに入れることもできます。


このようにパーセプチュアル・ポジションを上手に活用することで何かを強制することなく、自然な形で自分も相手も視点や視野が広がり、ともに成長できる状況を作ることができます。





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