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執筆者の写真十河 剛(そごう つよし)

名前が一人歩きする!商業誌投稿で専門家の信頼を勝ち取る方法【ザ・ファウンダー|一人でも始められる日本中から患者が集まる診療チームをつくりかた~「来てください」とお願いしなくても、「診てください」と患者や紹介がバンバンくる診療チームに~】

更新日:2024年12月25日

※このブログ記事は将来書籍化する予定の文書を一時的に無料開放しているものです。予告なく読めなくなることがあります。


上司が考えた「総説執筆作戦」


私が商業誌に総説を書くことになったのは、当時の上司(大ボス)の提案がきっかけでした。大ボスは某商業誌の編集委員を務めており、ある日突然、「十河先生をプロデュースする!」と、まるで人気アイドルグループのプロデューサーのようなことを言い出したのです。そして、そのときに与えられたテーマが「自己免疫性肝炎」と「原発性硬化性胆管炎」の総説執筆でした。


当時の私は30歳前後で、数例の症例経験しかない若手医師でした。しかし、総説を書くために段ボール2箱分の論文や資料を集め、徹底的に調べたことで知識が深まり、理解も進みました。そして総説が発表されると、相談のメールや症例紹介が増え、臨床経験が蓄積されていったのです。


この経験を通して感じたのは、「書く」という行動が、専門家としての自分の立ち位置や周囲からの評価を大きく変えるということです。最初は数例の経験しかなかった私でも、書いた内容が世に出ることで、名前が一人歩きし、周囲に「専門家」として認知されるようになりました。


では、なぜ「書くこと」でここまでの変化が起きるのか。それは、NLPのニューロロジカルレベルで説明すると、とても分かりやすくなります。


ニューロロジカルレベルとは?


NLP(神経言語プログラミング)のニューロロジカルレベルは、ロバート・ディルツ先生が考案された概念であり、人間の成長や変化を5つの階層に整理したものです。


  1. 環境レベル:自分を取り巻く状況や周囲の影響

  2. 行動レベル:実際に行っていること

  3. 能力レベル:行動を支えるスキルや知識

  4. 信念・価値観レベル:自分が信じていることや大切にしていること

  5. 自己認識レベル:自分自身に対する認識やアイデンティティ


変化のプロセスは、最上位の自己認識レベルから始まり、それが下位の信念や能力、行動、環境に連鎖的に影響を与えていきます。

ニューロロジカルレベル

商業誌投稿が自己認識を変え、信頼を勝ち取るプロセス


商業誌投稿によってどのような変化が起きるのかを、ニューロロジカルレベルに沿って解説します。


1. 自己認識レベル(アイデンティティ)

総説執筆を通じて得た知識や経験、そして周囲からの反応によって、「自分は〇〇の専門家である」という自己認識が形成されます。最初は「経験のない若手医師が書いた総説」としてスタートしたものが、やがて「この分野なら他の誰にも負けない」と胸を張れるようになります。


2. 信念・価値観レベル

自己認識が確立されると、次に「自分の知識や経験には価値がある」、「自分の専門知識が他の人が救うことができない人を救うことができる」という信念や価値観が強化されます。自分の知識や努力が誰かの役に立つ、という実感が次の行動の原動力になります。


3. 能力レベル

総説を書く過程で、以下のような能力が鍛えられます:

  • リサーチ力:大量の文献から必要な情報を収集し、整理する力。

  • 論理的思考力:複雑なテーマをわかりやすくまとめる力。

  • 文章力:専門知識を正確かつ読みやすく伝える力。

これらのスキルが高まることで、「さらに高度なテーマや新しい分野にも挑戦できる」という自信が生まれます。


4. 行動レベル

信念と能力の向上が、具体的な行動につながります。

  • 積極的に新しいテーマで総説を執筆する。

  • 学会発表や症例報告を継続し、自分の専門分野を発信し続ける。

  • 周囲との情報交換や共同研究の機会を増やす。

この行動が、さらに経験を蓄積させ、自分の立ち位置を確かなものにしていきます。


5. 環境レベル

行動が変われば、周囲の環境も変化します。

  • 周囲からの認知:「専門家」として信頼され、相談や症例紹介が増える。

  • 人脈の広がり:学会や他医療機関とのつながりが強化される。

  • 新しいチャンス:商業誌や学会から執筆依頼や講演のオファーが届くようになる。

このように、環境が変わることでさらに新しい成長の機会が生まれ、専門家としての地位が確立されていくのです。


コツコツ続けることで広がる可能性


総説執筆は、必ずしも編集委員のコネが必要ではありません。私自身、学会でEdwardsiella tardaという細菌による腸炎の症例を報告したことがきっかけで、今まで投稿した都がない商業誌から執筆依頼を受けました。また、消化器内視鏡関連の執筆依頼も、おそらく学会発表を通じて私を知り、依頼が届いています。


学会発表や珍しい症例の報告を地道に続けることで、商業誌への執筆依頼が来るようになります。日本の商業雑誌はimpact factorがつかないので、アカデミックポジションに直接影響は与えませんが、その積み重ねが「名前が一人歩きする」状態を生み出し、専門家としての信頼を勝ち取ることにつながるのです。


まとめ:書くことがすべてを変える

商業誌への投稿は、ただ知識をまとめる作業ではありません。それは「自分は〇〇の専門家である」という自己認識を確立し、信念や能力、行動、環境にまで影響を与える強力な成長のプロセスです。

「書くこと」から始まるこの道が、あなたの名前を一人歩きさせ、専門家としての信頼を築く第一歩となるのです。

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