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たった1人のスタッフの一言が病院・薬局の評価を決める?患者の心に残る“印象”の正体

  • 執筆者の写真: 十河 剛(そごう つよし)
    十河 剛(そごう つよし)
  • 3月22日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月27日

はじめに


患者さんが医療機関や薬局をどう評価するか。それは最新の医療機器や治療など、提供するサービスの質や内容だけではありません。「たった一人のスタッフの言動」が、組織全体の印象に直結するという事実をご存知でしょうか。



なぜスタッフ一人の態度が組織全体の印象を決めてしまうのか?


2022年の研究では、従業員の一つの行動が、その人自身だけでなく、組織全体の評価に転移することが明らかにされました。図書館員が来館者に怒鳴ると、多くの人が「図書館=感じが悪い」と判断する、しかも、ネガティブな印象はポジティブな印象よりも強く、速く、長く残るという傾向があります(Shank & Burns, 2022)医療機関でも、受付、看護師、薬剤師、技師など、誰であってもその人の対応が病院や薬局全体の印象になるのです。



接遇研修ではなぜ印象転移を防げないのか?


多くの医療機関や調剤薬局では「接遇研修」が導入されています。もちろん、丁寧な言葉遣いや清潔な身だしなみは大切です。しかし、それは表面的な「形式」にすぎません。患者さんが心で感じ取るのは、スタッフの態度・声のトーン・表情・間の取り方・共感性です。


「忙しそうにあしらわれた」

「声が冷たかった」

こうしたわずかな態度のズレが、“この薬局・この病院は感じが悪い”という印象を作るのです。



なぜ継続的なコミュニケーショントレーニングが必要なのか?


印象は、単発の研修では身につきません。日々変化する患者対応の中で、スタッフが“印象の代表者”として振る舞う意識を持ち続けるには、継続的で実践的な訓練が不可欠です。


たとえば以下のような力を養う必要があります。

• クレームを感情的に受け止めずに対処する力

• 患者の非言語的なサインを読み取る力

• チーム内で支え合いながら、心理的安全性を保つ力


これらは接遇ではなく、“人間理解と応対の訓練”であり、習慣づけによって初めて身につきます。



処方箋薬局にも同じことが当てはまるのか?


答えはYesです。むしろ薬局こそ該当します。処方箋薬局の薬剤師は患者との距離が近く、「待ち時間」「説明の丁寧さ」「声のかけ方」など、細かい接触のすべてが印象形成に影響します。

患者は、薬を受け取ると同時に「この薬局は信頼できるかどうか」という判断もしているのです。一言、ひとつの目線が、その薬局のブランドを左右します。



医療機関・薬局の印象を育てる第一歩とは?


まず必要なのは、人事・教育担当者・経営者が「個人の対応が組織全体の印象を形成する」ことを理解することです。そこから、継続的なコミュニケーショントレーニングの導入を段階的に進めることで、組織の印象体質を変えることができます。



「私は関係ない」と思った瞬間から、組織の信頼は崩れ始めます。

たった一言が、組織の未来を左右する──

それが医療と薬局の現場に求められる、新しい「責任感」のかたちです。


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よくある質問/Q&A


Q1: 印象転移とは何ですか?


A1: 印象転移(Impression Transfer)とは、ある個人に対して抱いた印象が、その人が所属する集団や組織全体に対しても転移し、同じような印象を持つようになる心理的な現象です。

たとえば

• 薬局の受付スタッフが冷たい対応をした

→ 利用者は「この薬局は感じが悪い」と組織全体に対しても否定的な印象を持つ

• 病院の看護師が丁寧に接してくれた

→ 患者は「この病院は信頼できそう」と組織全体に好感を持つ

このように、個人レベルの言動や態度が、そのまま“組織の印象”として認知されてしまうのが印象転移です。



Q2: なぜ印象が組織全体に転移するのですか?


A2: 人は情報が少ないとき、個人の言動を組織全体の特徴として一般化する傾向があります。人間は複雑な組織全体を一度に評価することが難しいため、目の前のわかりやすい情報(=対応した個人)に基づいて判断します。

特に医療機関や薬局のように専門性が高く内部の仕組みが見えにくい現場では、患者や利用者は「スタッフ=組織」とみなす傾向が強くなります。患者は内部事情を知らないため、対応そのものが判断材料になります。



Q3: なぜ重要なのか?


A3: 印象転移が起こることで、

• たった一人の言動で病院や薬局全体の信頼性や評判が左右される

• クレーム、口コミ、SNSでの拡散などにも直結する

そのため、すべてのスタッフが“組織の顔”としての自覚を持ち、質の高い対応を継続的に訓練することが重要になります。


Q4: 接遇研修とコミュニケーショントレーニングの違いは?


A4: 接遇は「形式的なマナー」、コミュニケーショントレーニングは「対人対応の本質的スキル」を育てます。前者は“見た目”、後者は“心の動き”に着目します。



Q5: 継続トレーニングは現場の負担になりませんか?


A5: 小さな工夫(朝礼でのロールプレイや月1回の振り返り)から始めれば、負担なく自然に文化として根づきます。長期的にはクレーム減少や離職率改善にもつながります。



Q6: 調剤薬局でも必要ですか?


A6: 必要不可欠です。薬局は医療の「最終接点」であり、安心・信頼・共感が患者の満足度と再来店意欲を決める重要な場面です。



Q7: どこから始めるべきですか?


A7: まずは「印象は個人ではなく、組織の評判そのものである」という意識を共有すること。そこから、チームごとの小さな継続プログラムを始めるのが効果的です。


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