医療の世界から日本をもっと元気に!
一般社団法人日本メディカルNLP&コーチング協会の
十河 剛(そごう つよし)です。
今日は前回のメールでお話しした謎の主訴
「家以外のトイレに入れない」
という男の子とそのご両親が
4年間悩まされていた問題を
10分程度の会話で解決した話の続きです。
前回のお話をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ
コーチングでは、
Goal(目標の確認)、
Reality(現状の確認)、
Option(選択肢、方法)、
Will(意思の確認)
の頭文字をとって、
GROWモデルという手法で質問をしていきます。
今回の症例ではGoalは
「家以外のトイレに行く」
と明らかであったので、
Reality(現状の確認)から入っていきました。
現状の確認をする上で私が行ったのは
「削除」、「歪曲」、「一般化」された情報を聞き出すことです
これをNLPでは『メタモデルの質問』と言います
「削除」とは情報の一部を文字通り削除してしまうこと
「歪曲」とは情報を捻じ曲げて解釈すること
「一般化」とは、ある一部のことを、
あたかも全部がそうであるかのようにうけとること
人間は毎秒1100万ビットの情報を
受け取っているとNLPでは言われています
実際にはもっと多いとも言われています
しかし、人間の脳はそれを全部受け取ると処理しきれないため
情報を「削除」、「歪曲」、「一般化」して、
実際に意識できているのは
1100万ビットのうち126ビットだけだと
NLPでは教えらえています。
実際にはもっと少ない情報しか
受け取れていないと言われてます。
そして、受け取った情報をアウトプットして話すときにも
「削除」、「歪曲」、「一般化」されるのです
例えば、私はさきほど
「実際にはもっと多いとも言われています」、
「実際にはもっと少ない情報しか受け取れていないと言われてます」
とお伝えしました。
これらの文章には削除(省略)されている部分があります。
それを明らかにするのがメタモデルの質問であり、
「何と比べてもっと?」=比較対象が削除
「言われてるって、だれが言ってるの?」=発言の主体が削除
「具体的には?」=具体的数値の削除
というように質問します
歪曲というのは出来事を捻じ曲げて解釈することですが
私がコーチングしていると
「部下が言われたとおりにやらないのはやる気がないからだ」
というようなことを言う人がいます
このような人には
「言われたとおりにやらないと、やる気がないってどうしてわかるの?」
と聞いてみます。
もしかしたら、やり方を理解できていないのかもしれないし、
単純に技術がたりないのかもしれない、
仕事が手いっぱいで手がまわらないのかもしれません。
それを『言われたとおりにやらない』=『やる気がない』
と捻じ曲げて解釈しているのです
森喜朗元首相が、
ソチ五輪のフィギュアスケート女子ショートプログラムで
浅田真央さんが転倒したことについて、
「あの子、大事な時には必ず転ぶ」
と言ったと報道されています。
この発言には「一般化」が隠されています。
確かに浅田選手は、
大事な場面で何度か転んだことがあるかもしれませんが、
必ず(=毎回)転んでいるわけではありません。
大事な場面で転ばなかったこともあります。
ですので、私がもしも新聞記者だったら、
森元首相に
「浅田真央さんは、大事な時に転ばなかったことは一度もない?」
と聞き返します。
このような「削除」、「歪曲」、「一般化」された情報を
探り出すメタモデルの質問を、
私は謎の主訴「家以外のトイレに入れない」
という男の子に聞いていったのです。
「家以外のトイレに入れない」
という一般化された情報に対して
メタモデルの質問で例外をみつけることで、
解決の糸口がみつかりました。
今回の症例では現状を確認することで、
自然とOption(選択肢、方法)が見えてきて、
本人の意思確認(Will)をしながら、
解決へと向かうことが出来たのです。
考えてみるに、
「削除」、「歪曲」、「一般化」
された情報を探り出すメタモデルの質問というのは、
私たち医療従事者が日常的に行っている問診の
基本の”き”なのですが、
ついつい忙しい業務の中では忘れがちのことでもあります。
「削除」、「歪曲」、「一般化」された情報を
明確にしていかないと、
医療現場ではコミュニケーション・エラーから
重大な医療ミスつながりかねません。
このような医療ミスを防ぐ効果も
NLPとコーチングにはあるのです。
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