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謎の主訴「家以外のトイレに入れない」...本当のところは?

執筆者の写真: 十河 剛(そごう つよし)十河 剛(そごう つよし)

医療の世界から日本をもっと元気に!


一般社団法人日本メディカルNLP&コーチング協会の

十河 剛(そごう つよし)です。



今日は私の外来を受診した

「家以外のトイレに入れない」

というのが主訴だった親子の話をしたいと思います。


私の専門外来に10歳の男の子が

「家以外のトイレに入れない」

という主訴で両親と一緒に来院しました。


私は子供の消化器が専門ですので、

便秘や便失禁で受診する子はいても、

家以外のトイレに入れないことが主訴で

受診することはまずありません。



問診表を見た看護師が私のところに

受付しても良い確認にきましたので、

「まずは話をきいてみよう」ということで

診察室に入ってきてもらいました。


両親と一緒に男の子も

うつむき加減で入ってきました。

挨拶をした後に話しを聞くと、

小学校1年生のときより

学校のトイレで用が足せなくなった


排尿は先生に付き添ってもらえば行けるが、

排便は我慢しすぎて嘔吐して呼び出しがあり、

その後に便失禁もしてしまった


小学校1年生の秋に近医で

排便コントロール目的に

ピコスルファートナトリウムを処方されたが、

学校で小便を出来ない状況は変わらず、

精神科を受診し、アリピプラゾールを処方され服薬中



家ではトイレに行けている

排便は2日に1回、

家以外のトイレでは排泄行為ができない

ということであった


私はその子に聞いてみました。


私「旅行に行ったりとかしない」


患児「する」


私「その時は何日も家に帰れないけど、そのときもずっとうんちもおしっこもしないの?」


患児「北海道旅行(2泊3日)に行ったときは、うんちはしなかったけど、おしっこはした。」


私「そっか、おしっこは出来るんだ。それ以外は家以外でうんちとか、おしっこしたことないの?」


患児「おしっこはしたことあるけど、ほとんどしない。」


私「そうなんだ。家以外でもおしっこしたことあるけど、ほとんどしないんだ。どうして、おしっこしないの?」


患児「うんちしている人がいると嫌だから。」


私「うんちしている人がいると嫌なんだ。どうして?臭いから?」


患児「よくわからない。」


私「じゃあ、うんちしている人が絶対にいなかったら、大丈夫?」


患児「うん」


私「学校のトイレって、男の子はうんちしないじゃん?」


患児「うん」


私「だけど、学校のトイレでおしっこできないのはどうして?」


患児「友達におしっこしているのを見られるのが嫌。」


私「そうなんだ。そうかそうか。じゃあ、もし仮に自分専用のトイレが学校にあったら行ける?」


患児「うん」


私「例えば、職員室の前のトイレとかは、学校の先生しか来ないから、友達は入って来ないじゃん?そこだったらどう?


患児「行けない。」


私「どうして?」


患児「先生に見られるのが嫌。」


私「そうか、誰かに見られるのが嫌なんだ。じゃあ、例えば、もし仮に職員室のトイレの前に○○君がトイレに入っていることがわかる目印が出ているときには先生も入らないとか約束が出来たら、どう?トイレ行けそう?」


患児「うん。行けそう。」



やりとりをずっと黙って見つめていた両親に目を向けて、


私「と、本人は言っていますが、如何でしょう?」

と聞いてみました。


母からは「そんな方法思いつきもしなかったです」との言葉が

父からは「そういえば、手指乾燥機の音を怖がってから、トイレに行かなくなった。音に敏感で、トイレの自動洗浄機能も怖がって、祖父母の家のトイレにも行かなくなった」とのこと


児童精神科の処方内容からしても

患児は自閉症スペクトラムであると思われます。

「音に敏感」というのは感覚過敏なのでしょう。


小学校入学以来約4年間、両親を悩ませていた問題が

10分程度の患児との会話で解決の糸口が見えました。



NLPとコーチング的アプローチの結果です。


次回は私がこの男の子との診察で何をしたかを説明しますね。

 
 
 

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